浅小井農園株式会社 第三者承継(M&A)

元公務員(建築士有資格者)から元銀行員への承継

 浅小井農園は2008年創業。「朝恋トマト」の商品名で、中玉トマトを関東から九州の都市部スーパーを中心に販売しています。先進的にJGAP認証、ICT農業、SDGsなどに取り組み、全国から注目されています。
2020年10月に第三者事業承継を行い、創業者の松村務さん(当時67歳)が取締役会長になり、メガバンクから転職し研修生として経験を積んできた関澤征史郎さん(当時39歳)が代表取締役社長に就任しました。

浅小井農園 _松村様 関澤様

松村 務 取締役会長(左)と関澤 征史郎 代表取締役社長(右)

会社創業の経緯

先代の松村さんが新規就農を目指し、栗東市役所を54歳で早期退職し立ち上げた浅小井農園。「面白いことは何でもやってやろう」のチャレンジ精神で、滋賀県最大の産地拡大プロジェクトに乗りました。非農家かつ新規就農であったため、滋賀県農業大学校に通い、栽培技術や農業経営を勉強してからの創業。元々建築関係の仕事をしていたこともあり、一級建築士のノウハウを生かして、栽培面積8,000㎡、トマト栽植本数19,000本の巨大な農園を自身の手で作り上げました。

関澤社長の経歴~浅小井農園との関係

関澤さんは、みずほ銀行で法人向け融資外為営業の渉外担当、審査部担当、融資課長等を歴任。銀行時代に経営者と接する機会が多く、次第に「自分も経営者になりたい」との願望を持つようになりました。食べることが好きで、「食」から農業に興味を持ち、制度融資や補助金に恵まれた業界であったことから、農業での起業を決意し銀行を37歳で退職。妻の実家がある滋賀県を中心に農地を探し、栽培技術を勉強する目的で2018年11月に浅小井農園に入社しました。

事業承継を始めた時期やきっかけ

研修が進み二人の距離が縮まってきた2020年頃、松村さんの後継者がいないことを知った関澤さんが、承継はどのように考えているのかを聞いてみたところ、「最悪、後継者が見つからなかったら廃業し、きれいに片づけて地主に農地を返せばいい」とのリアクション。「ここまでのハイスペックな農園が廃業するのはもったいない」と考えた関澤さんは、2020年2月、松村さん宛にプレゼン資料を作成。「私に任せてくれませんか」と事業承継提案をしたところ、双方のベクトルが一致し事業承継手続に向け動き出しました。

事業承継の実際

DD(デューデリジェンス)や税務法務面等でのサポート役として、関澤さんの顧問税理士に委託、承継シナリオや承継後の双方処遇等を全面的にバックアップ支援を受けました。
また、実務を進めた税理士とは別に、近江八幡商工会議所から紹介された滋賀県事業引継ぎ支援センターによるセカンドオピニオンを受けました。
承継提案当初から双方が前向きであったこともあり、承継手続はスムーズに進行。2020年10月、無事に事業承継がクロージングできました。
事業承継のタイミングで小規模事業者持続化補助金を活用してホームページのリニューアルを行い、「事業が動くイザという時の商工会議所のバックアップは嬉しかった」といいます。

事業の展開、取組や今後について

浅小井農園_皆さん

関澤さんは、先代が築いた素晴らしい農園をさらに盛り上げていくべく、まずは浅小井農園の底力を最大限発揮できる体制を整えようとしています。「コストをしっかりと掛けて、売上高を伸ばしていく」という方針で、承継後1年目の売上高は約30%増加。まだ伸びる余地はあると考え、現在の設備のみで売上高1億円以上を目標にしています。
また、6次産業化や農商工連携等も積極的に行いたいと、トマトジュース、化粧品製作、スポーツジム経営等も想定しています。「健康」というキーワードの元、食と身体のトータルプロデュースができる会社を目指しています。

浅小井農園(株)
滋賀県近江八幡市浅小井町2481
TEL:0748-43-0550
FAX:0748-43-0551
E-mail:tomato1@asagoi.com
URL:http://asagoi.com